お通夜は喪服じゃなくてもいい?服装マナーと注意点

お通夜は喪服じゃなくてもいい?服装マナーと注意点

「お通夜は喪服でなくてもよいですか?」という疑問は、急な訃報に接した際に多くの方が抱くものです。突然のことで仕事帰りに駆けつける場合、お通夜に私服で参列してもよいのか迷うかもしれません。

古くは、あえて通夜に礼服で向かうのは「死を予期していた」と捉えられ、お通夜の喪服は失礼にあたるという考え方もありました。しかし現代では、そのマナーも変化しています。

この記事では、お通夜の服装に関する基本的な考え方から、私服で参列する場合の具体的な注意点、喪服の代用としてユニクロなどのアイテムは使えるのか、そして親族の女性はどのような服装をすべきかまで、詳しく解説します。お通夜のダメな格好をして失敗や後悔をしないために、正しい知識を身につけましょう。

この記事でわかること
  • お通夜に喪服が失礼とされた本来の理由
  • 現代におけるお通夜の服装の基本的な考え方
  • やむを得ず私服で参列する場合の具体的な服装選び
  • 性別や立場による服装と持ち物のマナー
もくじ

お通夜は喪服じゃなくてもいいという説の真偽

喪服の男性
ポイント
  • お通夜は喪服でなくてもよいですか?
  • なぜお通夜の喪服は失礼と言われる?
  • 現代では通夜に礼服で参列が一般的
  • 急な訃報で仕事帰りに参列する場合
  • お通夜に私服で参列する際の注意点

お通夜は喪服でなくてもよいですか?

結論から言うと、お通夜は必ずしも喪服でなくても問題ありません。特に、訃報を受けてからお通夜までの時間が短い場合や、仕事先から直接駆けつける場合などは、平服での参列も許容されています。

大切なのは、故人を悼む気持ちを持って駆けつけることです。服装の準備が間に合わないからといって参列をためらうよりも、まずは弔意を示すことを優先するのが望ましいと考えられています。ただし、どのような服装でもよいというわけではなく、弔事の場にふさわしい、落ち着いた装いを心掛ける必要があります。

なぜお通夜の喪服は失礼と言われる?

お通夜に喪服を着ていくのがかえって失礼にあたる、という考え方の背景には、日本の古くからの風習が関係しています。本来、お通夜は「取り急ぎ駆けつける」という性格を持つ儀式でした。

そのため、準備万端の喪服で参列すると、「故人が亡くなるのを予期して、前もって準備していた」かのような印象を与えかねず、それが遺族に対して無礼であると見なされることがあったのです。これは、不祝儀に新札を包むのを避けるマナーと考え方が似ています。

しかし、この価値観は時代と共に変化しており、特に都市部では薄れつつあります。現在では、お通夜の案内が事前に届くことが多いため、喪服を着用することが一般的になっています。

現代では通夜に礼服で参列が一般的

現代の日本、特に首都圏などの都市部では、お通夜に準喪服(一般的な喪服)で参列するのが主流となっています。通信手段が発達し、訃報が瞬時に伝わるようになったため、参列者もお通夜までに喪服を準備する時間的な余裕ができたことが大きな理由です。

このため、お通夜の会場では、ほとんどの参列者が喪服を着用している光景が一般的です。もし喪服の用意が可能で、平服とどちらを着るべきか迷った場合には、喪服(準喪服)を選ぶ方が無難と言えます。

ただし、故人との関係性や地域の慣習によっても状況は変わるため、一概に「喪服が絶対」とは言えないのが実情です。

急な訃報で仕事帰りに参列する場合

急な訃報を受け、仕事や外出先から直接お通夜に向かう場合は、無理に喪服に着替える必要はありません。前述の通り、「取り急ぎ駆けつけた」という弔意の表れとして、平服での参列もマナー違反にはあたらないからです。

男性の服装

ダークスーツ(濃紺やチャコールグレーなど)に白いワイシャツであれば、ネクタイを黒無地のものに替えるだけで弔事に対応できます。もし黒いネクタイが手元になければ、コンビニエンスストアや駅の売店などで購入することも可能です。派手な色のネクタイやノーネクタイは避けましょう。

女性の服装

黒や紺、グレーといった地味な色のワンピースやセットアップ、スーツなどが望ましいです。派手な装飾やデザインは避け、できるだけシンプルな服装を心がけます。もし可能であれば、黒いストッキングに履き替えると、より丁寧な印象になります。

お通夜に私服で参列する際の注意点

やむを得ず私服で参列する場合でも、「平服=普段着」ではないことを理解しておくことが大切です。ここでの平服とは、弔事の場にふさわしい、控えめで地味な服装を指します。

基本は、黒・紺・濃いグレーなどのダークカラーで、無地のものを選びます。光沢のある素材や、体のラインが強調されるようなデザインは避けなければなりません。また、殺生を連想させるアニマル柄やファー(毛皮)素材は、今でも厳格なタブーとされています。

以下の表に、平服として許容される服装と避けるべき服装の例をまとめました。

許容される服装(平服)避けるべき服装
男性ダークカラー(黒・紺・グレー)の無地スーツ、白い無地ワイシャツ、黒い無地ネクタイ、黒い革靴カジュアルなジャケット、柄物シャツ、Tシャツ、ジーンズ、スニーカー、サンダル
女性ダークカラーの無地ワンピース・アンサンブル・スーツ、黒いストッキング、黒いシンプルなパンプス派手な色や柄の服、光沢のある素材、肌の露出が多い服(ノースリーブ、ミニスカート)、普段着のニット、デニム

これらの点を踏まえ、故人や遺族に失礼のないよう、最大限の配慮をすることが求められます。

お通夜が喪服じゃなくてもいい場合の服装

女性の喪服
ポイント
  • これは避けたいお通夜のダメな格好
  • 喪服の代用はユニクロでも平気?
  • 親族の女性がお通夜で着る服装とは
  • 弔事にふさわしいバッグや靴の選び方
  • 必要な持ち物とアクセサリーのマナー
  • 結論:お通夜は喪服じゃなくてもいいの?

これは避けたいお通夜のダメな格好

弔事の場にふさわしくないとされる服装には、明確な理由があります。故人を偲び、遺族を慰めるというお通夜の趣旨から外れた印象を与えないよう、以下の点は必ず避けてください。

服装の素材と色

赤や黄色といった慶事を連想させる鮮やかな色は、言うまでもなくNGです。基本は黒ですが、濃紺や濃いグレーまでが許容範囲です。また、エナメルやサテンのような光沢のある素材は「光り物」とされ、お祝いの席を連想させるため弔事には不向きです。ボア素材やダウンジャケットのようなカジュアルすぎるアウターも避けましょう。

肌の露出とデザイン

過度な肌の露出は、厳に慎まなければなりません。襟ぐりが大きく開いた服、ノースリーブ、ひざ上丈の短いスカートやショートパンツはマナー違反です。夏場であっても、肌の露出は極力控えるのが基本です。体のラインを過度に強調するような、タイトすぎるデザインも避けましょう。

小物類の注意点

特に毛皮(ファー)やアニマル柄(ヒョウ柄、ゼブラ柄など)の小物は、殺生を直接的に連想させるため、最も避けるべきアイテムとされています。バッグやコートの襟など、一部分であっても使用されているものは持ち込まないようにしてください。

喪服の代用はユニクロでも平気?

喪服を持っておらず、急に必要になった場合、ユニクロなどのファストファッションブランドのアイテムで代用することは可能なのでしょうか。

答えは「可能ですが、選び方には細心の注意が必要」です。重要なのはブランド名や価格ではなく、その服が弔事の場にふさわしい「色・形・素材」であるかどうかという点にあります。

例えば、ユニクロで代用品を探すのであれば、以下のようなアイテムが候補になります。

  • 女性の場合:無地の黒いワンピース、黒いシンプルなジャケットやカーディガン、黒いスカートやパンツ。
  • 男性の場合:黒い無地のスラックス、白い無地のワイシャツ。

ただし、同じ黒い服でも、デザインがカジュアルであったり、光沢のある素材が使われていたり、装飾的なボタンが付いていたりするものは避けなければなりません。あくまでも「シンプルで、光沢がなく、装飾のない、ダークカラーの無地」という原則を守れるかどうかが判断の基準です。

親族の女性がお通夜で着る服装とは

参列者と親族とでは、求められる服装の格式が異なります。親族は参列者を迎える立場にあるため、より正式な装いをすることがマナーです。

一般的に、三親等までの親族は「正喪服」または「準喪服」を着用します。女性の正喪服は染め抜き日向紋が五つ入った黒無地の着物(黒紋付)ですが、近年では着用する人が減っており、準喪服が主流です。

女性の準喪服は、黒のフォーマルなワンピース、アンサンブル、またはスーツです。光沢のない深い黒色の生地で、肌の露出を抑えたデザイン(長袖または七分袖、ひざ下からふくらはぎ丈のスカート)が基本となります。透け感のある素材や華美なデザインは避け、上品で落ち着いた印象の服装を心がけることが大切です。

弔事にふさわしいバッグや靴の選び方

服装だけでなく、バッグや靴といった小物選びも非常に重要です。全体の印象を左右するため、細部まで気を配る必要があります。

女性のバッグと靴

バッグは、光沢のない黒の布製で、小ぶりなハンドバッグが基本です。爬虫類系の革(クロコダイルやパイソンなど)や、金具が目立つものは避けましょう。やむを得ず革製のバッグを持つ場合は、光沢のないシンプルなデザインのものを選びます。

靴は、黒い布製または光沢のない革製のシンプルなパンプスが最適です。ヒールの高さは3〜5cm程度の太めのものが安定感もあり、望ましいとされます。つま先が開いたオープントゥや、かかとのないミュール、ピンヒールはNGです。

男性の靴

男性の靴は、黒い革靴が基本です。デザインは、つま先に横一文字のラインが入った「ストレートチップ」が最もフォーマルとされますが、飾りのない「プレーントゥ」でも問題ありません。ウイングチップやローファーなど、カジュアルな印象の靴は避けましょう。靴紐は、内側に通す「内羽根式」がより正式です。

必要な持ち物とアクセサリーのマナー

お通夜に参列する際には、服装以外にも持参すべきものや、アクセサリーに関するマナーがあります。

必須の持ち物

  • 数珠(念珠):仏式の葬儀では必須のアイテムです。自分の宗派のものがあれば持参しますが、なければどの宗派でも使える略式の数珠で構いません。
  • 袱紗(ふくさ):香典袋を包むための布です。紫や紺、深緑、グレーといった寒色系の色のものを選びます。紫色の袱紗は慶弔両用で使えるため、一つ持っておくと便利です。
  • ハンカチ:白の無地が基本ですが、黒や薄い水色などの地味な色でも問題ありません。柄物やタオル地のハンカチは避けましょう。

アクセサリーのマナー

結婚指輪以外のアクセサリーは、基本的には外します。唯一許容されるのは、涙の象徴とされる一連のパールネックレスです。二連以上のネックレスは「不幸が重なる」ことを連想させるため厳禁です。イヤリングやピアスも、着けるのであればパール一粒のシンプルなものに留めましょう。時計も外すのが望ましいですが、着けるなら地味なデザインのものを選びます。

結論:お通夜は喪服じゃなくてもいいの?

この記事で解説してきた通り、「お通夜は喪服じゃなくてもいい」という考え方は、状況によっては間違いではありません。しかし、それはあくまで急な訃報で準備が間に合わない場合に限られます。最後に、お通夜の服装に関する重要なポイントをまとめます。

  • お通夜は本来「取り急ぎ駆けつける」もの
  • そのため急な弔問なら平服での参列も許容される
  • ただし現代では喪服での参列が一般的になりつつある
  • 喪服と平服で迷ったら喪服を選ぶのが無難
  • 平服とは「普段着」ではなく「地味で控えめな服装」
  • 色は黒・濃紺・濃いグレーなどのダークカラーを選ぶ
  • 光沢のある素材や派手なデザインは避ける
  • 殺生を連想させる毛皮やアニマル柄は厳禁
  • 肌の露出が多い服装(ミニスカートやノースリーブ)はNG
  • 男性の平服はダークスーツに黒ネクタイが基本
  • 女性の平服はダークカラーのワンピースやアンサンブル
  • バッグは黒い布製の小ぶりなものが最適
  • 靴は光沢のない黒いパンプスや革靴を選ぶ
  • アクセサリーは結婚指輪と一連のパールネックレスのみ
  • 最も大切なのは服装よりも故人を悼む気持ち
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